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2014年度 [ 地域志向 ] 心理教育相談室を中心とした大学生メンタルサポーターの養成

心理教育相談室を中心とした大学生メンタルサポーターの養成

取組代表者

芳川 玲子 【文学部心理・社会学科】
(湘南校舎)

共同取組者

宮森孝史(文学部心理・社会学科)、内田晴久(教養学部人間環境学科)

取組の概要

『目的』

2013年度の「近隣小・中学校における安心・安全に関する調査」(トコラボ教育研究経費)の結果から、学校で頻発する危機は、自然災害、交通事故やけが、いじめや暴力事件等、児童生徒にも教職員にも心理的なショックを与えるものが多いことがわかった。また、「教育委員会を対象とした聴き取り調査」から、本学心理教育相談室に対して、学生サポーターの派遣を望む声が多いことも明らかとなった。以上により、2014年度は、安心・安全の担い手として、学校及び地域に貢献できる大学生メンタルサポーターの養成を試みることにした。

なお、学校安心・安全の新たな担い手としての大学生メンタルサポーターの役割は、①学校安心・安全に関する予防的活動、②事件や事故等の初期緊急対応が終わった後の児童生徒の安心・安全感の回復、③再発防止のための手伝い とし、初歩的なメンタルヘルスリテラシーを持ち、緊急時は、専門家の指示のもと、補助的な役割を果たす存在と想定した。そのために養成する力は対人援助力、コミュニケーション力、課題発見力、課題解決力とした。

『方法』

心理学及び社会学的素養のある学生を対象にメンタルサポーター養成への参加を呼びかけた結果、24名の学生が応募してくれた。学生全員に、(1)自然災害、(2)学校危機対応、(3)児童期・思春期の心の発達に関する内容の講義を計12回受けてもらった。講義終了後、約7名を1グループとし、それぞれ実習先へ出向き、2~3週間の実習を行った後、学んだ事について振り返ってもらった。各グループの実習テーマは以下の通りである:

①O中学校:いじめの未然防止のためのグループワークの実施
②△中学校:気になる生徒の話し相手及び特別支援学級のグループワークの実施
③*適応指導教室:コミュニケーションが苦手な生徒の行動観察及びかかわり方へのヒントの提示
なお、テーマはサポーターが実際実習先のニーズを聴き取ったものである。

取組の成果

講義後のアンケート調査から、学生は各講座についての満足度が高く、実習後の振り返りにおいても「生徒に心を開いて貰うためにはまず自分が心を開かないと駄目だということを学んだ」、「ワークを行う際、みんなが言えるように配慮することが大切だと言うことを学んだ」など内容の濃いものであった。以下、その抜粋を載せておく。

*講座を受け、知識として学校での危機対応や取り組み、サポーターとして取るべき行動を知ることができた。そこから実践を行ったので、「この生徒との関わりはどうしたら良くなるだろう」、「次はどのように声をかけてあげよう」と考えることができた。
*今までは、子どもをわかろうとか、何も意識せずに接していたが、今回の実習では自然な目でその子の良い面を探せるようになった。
*普段の講義のようにノートを取ってテストやレポートをして終わるのではなく、実際に子供たちと交流をすることで、自分はどうしたらいいのか、相手は何を考えているのかを悩み、行動に移すというリアル感を持って活動することが出来た。

今後は、頂いた課題について、報告書を作成し、実習先に提出する予定である。

  • 取組テーマ:安心安全
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:教育