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2016年度 [ 地域志向 ] 駿河湾産未利用魚「ハダカイワシ」の加工利活用による地域産業の活性化

2016年度 [ 地域志向・概要 ] 駿河湾産未利用魚「ハダカイワシ」の加工利活用による地域産業の活性化

取組代表者

後藤 慶一 【海洋学部水産学科 教授】
(清水校舎)

共同取組者

齋藤 寛(海洋学部水産学科 教授)、山本 茂貴(海洋学部水産学科 教授)

取組の概要

 駿河湾特産品サクラエビとともに水揚げされるハダカイワシは、DHAを多く含む等、食品として高いポテンシャルがあり、かつ十分な資源量が予測されているにもかかわらず有効利用されていない。この水産資源の食品素材としての可能性を食品科学的に探究し、HACCP的思考に基づいて加工食品を試作する。限りある資源の利活用と栄養学的および食品衛生学的な食品開発過程を包括的に理解し、ゼミ・授業や講演会等で包括的な知見として地域に提供、産業活性化の一助とすることを目的とする。

①サクラエビ漁の混獲魚であるセンハダカを用いて、HACCP 的思考に基づき、魚醤油、魚味噌、缶詰およびハンペンを試作した。魚醤油、缶詰およびハンペンは実食評価を行った。

②定置網漁で漁獲された、小サバ、小イワシ等が混じった雑魚は利用されないことを由比漁協から情報提供され、その活用法についての協力要請を受けた。漁獲された雑魚を用い、魚醤油、魚味噌およびフリッターを試作した。魚醤油およびフリッターは実食評価を行った。

③上記未利用魚を用いた取組みについて、企業・一般向け講演会2 回、研究会での発表3 回(ポスター2回、口頭1 回)、授業6 回、催事での試作品展示7 回を行った。

取組の成果

①センハダカの利活用
・4 種類の魚醤油を試作した。内3 種類について駿河湾水産振興協議会(静岡市・焼津市・牧之原市・吉田町・御前崎市からなる協議会)の推薦特産製品として取り上げられ、プロモーション用に静岡市の依頼で試作品を製造した。試作品は、2017 年1 月より静岡駅、高速道路、各種イベントなどで展示、配布される。評価は高く、ニーズがあることは確認できているが、製造業者が見つかっておらず、自治体と協力して探索を継続する。
・魚味噌を試作したが、自己消化酵素活性が強いせいか、液状のまま変化しなかった。センハダカは魚味噌には向いていないと判断した。
・缶詰およびハンペンを「食品製造学実習」と「水産食材論及び実習」で試作した。水煮缶詰では魚の臭いが少し強く、水色も黒っぽいため、改善が必要。オイル缶詰ではガーリックやジンジャーを用いて風味をつけることでおいしい仕上がりとなった。ハンペンは硬化が起きず、単独でのハンペンへの使用は難しいと判断した。実習に際して学生に未利用魚の講義を行い、実情を理解させるとともに、水産資源に対する意識向上を図った。

②雑魚の利活用
・雑魚の魚醤油を2 種類試作した。由比漁協へ納品し、良好な仕上がりであるとの評価をもらった。展示会で焼津市の企業から雑魚の魚醤油を共同開発したいと問い合わせがあった。
・魚味噌はセンハダカと同じく、液状のままで、固いペースト状にはならなかった。
・改善を重ね、おさかな丸ごとフリッターを開発した。フリッターは由比漁協女性会およびJA 清水由比支部の婦人部に評価してもらい、改善点はあるものの好評で、学校給食への導入の可能性が示唆された。今後食品メーカーへ提案していく。

③本取り組みを情報発信し、興味を持った自治体や企業が複数あることから、地域産業活性化に向けた一助になったと考える。また、東海大学や静岡県立大学での授業・実習を介し、未利用魚や水産資源の意識向上につなげることができた。

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  • 取組テーマ:ブランド創造
  • 対象者  :指定なし
  • 連携自治体:静岡県、静岡市