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2014年度 [ 地域志向 ] 広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興

広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興

取組代表者

松本 亮三 【 観光学部観光学科】
(代々木校舎)

共同取組者

泉  正史(観光学部観光学科)、屋代 雅充(観光学部観光学科)、岩橋 伸行(観光学部観光学科)、 吉村 卓也(国際文化学部デザイン文化学科)、田川 正毅(国際文化学部デザイン文化学科)、 中尾 紀行(国際文化学部デザイン文化学科)、宮内  順(経営学部観光ビジネス学科)、鈴木 康夫(経営学部観光ビジネス学科)

取組の概要

本プログラムは、湘南・代々木校舎では大山などの文化資源、札幌校舎では「札幌軟石」という歴史的建材資源、熊本校舎では阿蘇カルデラ南部地域の自然資源という、性質の異なった観光資源を中心に、産官学連携のもと、広域的なデスティネーション・マネジメント(DM:着地型観光の一元的管理運営)を行うことで、地域振興を図り、互いに検証し合いながら、観光活性化を主体とした地域振興の方法を確立することを目的として、下記①~③の取組みを行った。また、その成果を学外一般に対して公表し議論するため、2014年12月21日(日)に、代々木校舎4号館講堂において、全体のシンポジウムを行った。

①丹沢湘南地域における訪日観光の推進(湘南・代々木校舎):丹沢湘南地域の広域観光連携において訪日外国人観光客の誘致を視野に入れ、外国人向けのバスモニターツアーの実施を通じて、訪日客の志向を把握するとともに今後のツアーのあり方を探る。②軟石未来プロジェクト(札幌校舎):北海道の歴史的建築資材「軟石」が札幌市南区で産出されることにちなみ、軟石をテーマとした観光の可能性をさぐるとともに、マルチフィールドな観光振興プロジェクトを地域の関係者で立ち上げ、新たなビジネスの可能性を検討する。③DMによる南阿蘇の地域振興(熊本校舎):南阿蘇エリアは、日帰り客に比べ宿泊客が少なく、地域活性化には滞在型プログラムの開発が急務である。DMの技法により、着地型観光の振興を図ることを本取組みの目的とする。

取組の成果

①丹沢湘南地域における訪日観光の推進(湘南・代々木校舎):観光学部が中心となって2007年度より実施している「丹沢湘南観光連携会議」(平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町、二宮町、仲井町の行政・観光協会等が参加)でコース・集客方法を検討し、在日外国人を対象にモニターツアーを実施した。10カ国43人が参加し、大山阿夫利神社の参詣、そば打ち体験、足湯体験、だるま工房見学等を行い、好評であった。外国人の地域観光に対する満足度・期待度が判明し、今後のインバウンド着地型観光の設計・運営の一助となり、DMを行う非営利組織(DMO)の基礎を形成することができた。

②軟石未来プロジェクト(札幌校舎): 「軟石を探せ!バスツアー」(30名参加)、公開セミナー「北海道の軟石文化―「これまで」と「これから」」(100名参加)、ワークショップ「札幌軟石でつくろう!」(83名参加)を実施することで、大学、行政、地域住民、石材業者、観光業者を巻き込んだ取組みを通して、地域活性化の基盤を作り挙げた。今後も、DMOの形成を含め、札幌軟石を利用した新たなビジネスの可能性をさぐり、南札幌エリアの自立的観光地化を模索していくこととなる。期末までに軟石の歴史や活用法の分かるブックレットやショートムービーを完成する予定である。

③DMによる南阿蘇の地域振興(熊本校舎):南阿蘇村、南阿蘇観光協会連絡協議会、地方経済総合研究所などの協力を得ながら、当該地域の観光関連情報を収集し、地域の観光事業者との話し合いや、「南阿蘇・観光地域活性化セミナー」(観光事業者30名参加)を開催するなどの活動を行う一方、観光事業者を対象にアンケート調査を実施した。その結果、宿泊を伴う観光が少ないという現状を打開するには、DMに関する認識を高め、それを行う企業(DMC)を設立すれば改善できる可能性が高いことが判明した。DMCの設立に向けて、「DMC熊本プロジェクト」のHPを開設し、DMCの概要と南阿蘇の観光資源情報を公開している。今後とも地元関係者と共にDMCの設立に努力する予定である。

12月21日、一般対象に全取組成果を発表すると共に、DMについての講演とパネルディスカッションを行い、着地型観光を推進するDMの必要性を広く共有することができた。

  • 取組テーマ:地域観光
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:社会貢献
  • 連携自治体:札幌市南区、伊勢原市、南阿蘇村