science-cafe_01

2015年度 [ 地域志向 ] 生命科学実習と研究室開放・サイエンスカフェによる多世代間交流促進

生命科学実習と研究室開放・サイエンスカフェによる多世代間交流促進

取組代表者

阿部 幸一郎 【医学部 基礎医学系分子生命科学准教授】
(伊勢原校舎)

共同取組者

石井 直明(医学部基礎医学系分子生命科学 教授)、秦野 伸二(医学部基礎医学系分子生命科学 教授)、安田 佳代(生命科学統合支援センター技術職員)、杉崎 久美子(医学部基礎医学系分子生命科学 臨時職員)

取組の概要

 医学研究に対して一般市民の関心が高まっているが、生命科学分野ではSTAP細胞問題などがセンセーショナルに報道され、科学研究が批判される場面も多い。今こそ、研究の現場と市民が交流してお互いの理解を深める時である。医学部は附属病院において、医療行為を通して一般社会に多大な貢献をしている。しかし、その研究内容は地域社会において広く理解されていない。そこで本課題では、伊勢原市子ども科学館と連携し、小中学生と保護者を対象とした生命科学の材料を扱った実習を行って市民との交流を図る。さらに、祖父母世代を含めて、医学部の研究室の一部を開放するとともにサイエンスカフェを開催して、市民の医学研究への理解を深める。

取組の成果

 地域小学校高学年生と中学校生(計16名)を対象とし、伊勢原市立子ども科学館で7月31日に行われた生命科学実習では、自身の口腔内の細胞からDNAを抽出する実験や、研究で用いられる線虫やマウスの標本などを用いて実験や観察を行った。このような実験・実習により、子供達からは実験操作や観察が楽しかった、難しかったという感想とともに、DNAに対しての疑問、生態への興味、実験操作に対しての質問があった。また、翌日には参加者とその保護者を伊勢原校舎へ招待し、研究内容の説明とともに研究室とそこで行われている実験の見学ツアーが行われた。子供達は初めて見る研究室と実験機器に驚き、保護者は病院の業務のみならず、基礎研究にも力を入れているという印象を持ったとの反応があった。また、医学部は敷居が高いイメージ、難しそうなイメージであったが、教員や学生と気さくに話したことにより明るい印象に変わったとの意見もあり、地域住民へのイメージアップにも繋がったとみられる。さらに、今回は「研究者(医学部)への道」というテーマで、サイエンスカフェを催した。参加者からの質問に対し、大学院生や学生らが医学研究や医師を目指したきっかけや、子供時代の体験談や受験勉強などについて話した。また会場では、教員や大学院生によるポスター発表も行い、最新の研究を紹介した。保護者からは、進路を考え始める中高生にも見せてあげたいと思った、医学生や研究者と気軽に話ができてとても良かった、などのコメントが寄せられた。

 これらの活動に対して、イベント終了後のアンケートでは、参加した子供から「僕も将来東海大学に来たいです。そしてこの2日間よりさらに科学のことやミュータントのことを学びたいです。」などのコメントも寄せられた。また、イベントの参加者の中には昨年度に続いて今年度も参加したリピーターもおり、徐々に本活動が軌道に乗ってきたことが実感できた。これら2日間の実習と研究室見学には、教職員に加えて学部生と大学院生が参加した。彼らに対するアンケート調査より、子供達の態度や姿勢により自分自身の勉強への意欲が高まったという意見が多く寄せられた。

 このように、イベントに参加した親子だけでなく、参加者全体が今回のイベントが良い刺激になり自分自身の興味、好奇心、課題を考えるきっかけになったことがわかった。

  • 取組テーマ:大学開放
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:教育
  • 連携自治体:伊勢原市