公開講座「文化ブランド創造」を開催しました
札幌キャンパスでは2月27日、紀伊國屋書店札幌本店インナーガーデンで、東海大学公開講座ヒューマンカフェ(道民カレッジ連携講座)「文化ブランド創造」を開催しました。当日は、書店のない地方の町役場と共同で役場書房の運営を試みている株式会社くすみ書房の代表取締役を務める久住邦晴氏と、東京から札幌へ移って新たな劇団を立ち上げて演劇活動を続ける劇団KYOKU主宰者の滝沢修氏を講師に迎えました。
久住氏は、「全国で小さな本屋が次々に閉店してしまうため、本屋がないという地方が増え続けている現状がある」と説明しました。そんな状況下で、札幌から約180km離れた人口約1万3千人の浦河町から、本屋をつくってほしいという強い要望を受け、町民と一緒に問題に向き合い、その実現を目指す試みについて現在までのプロセスの詳細を話しました。久住氏は「実現にはいくつか条件があり、それらをクリアするには浦河町からの協力がなければとうてい無理です。でも、少しずつ光が見えてきている。“人が集まるコミュニティ本屋“という発想を持って取り組みたい」との意気込みを力強く語りました。
次に滝沢氏からは、東京で唐十郎氏が率いる「状況劇場(紅テント)」で活動したときの経験や、その後の自らの演劇観の変化についての話がありました。「小さな劇場での芝居にひかれるものがあった」と札幌で劇団を立ち上げたことや、今日までの活動内容について、主に写真を示しながら解説。「札幌では、芝居をやる傍ら、有機栽培を行う八百屋でも働いています。芝居は人、八百屋は野菜。別々の相手との仕事ですが、実は“関わり方を工夫するとよい方向に変わる”という共通点があります」と独自の言い回しで語りました。
両氏の話に共通するのは、地域独自のブランドとしての価値観を見いだす文化活動を展開している点です。本講座は、「地域の文化とは何か?」ということを伝える機会となりました。