– 大学推進・湘南 – シンポジウム「環境保全型社会に向けた次世代育成の取り組み」が開催されました

2017年1月22日(日) 東海大学湘南キャンパス13号館にて
 

シンポジウム
「環境保全型社会に向けた次世代育成の取り組み」

が開催され、学生や教職員、地域住民らが聴講しました。

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2016年度To-Collaboプログラム 大学推進プロジェクト「エコ・コンシャス計画 環境保全事業」(代表: 藤野 裕弘 教養学部人間環境学科自然環境課程教授)の活動の一環として行われたものです。

 これまでのプロジェクトの活動を踏まえ、より複合的、多角的に環境保全について捉えることを目的に開いたものです。当日は、本学医学部の教員による環境化学物質や農薬に関する基調講演のほか、本プロジェクトの進捗状況の報告、パネルディスカッションを行い、学生や教職員、近隣住民らが聴講しました。

 はじめに、本プロジェクトの取組代表者を務める教養学部人間環境学科自然環境課程の藤野裕弘教授が登壇。「今年度の活動のまとめとなるシンポジウムです。有意義な会にしたいと思います」とあいさつしました。

 基調講演では、医学部長の坂部貢教授が、「環境化学物質の健康影響に関する動向―その過去・現在・そして未来に向けて―」をテーマに、化学物質がホルモンに及ぼす影響や母体から胎児への残留などについて解説。胎児期から13歳までの子どもの成長・発達と環境要因の関係を調査する、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の概要を紹介し、「環境化学物質のヒトへの健康リスクを正しく評価することは、生態系を守ることにもつながる」と語りました。続いて、医学部の寺山隼人講師が、「ネオニコチノイド系農薬のサイエンス―研究の必要性―」と題して講演。農薬は我々の生活において欠かせないものであり、その農薬の中で最新のネオニコチノイド系農薬が害虫の神経の正常な情報伝達を破壊するメカニズムを説明しました。さらに、ミツバチの大量死、大量疾走の要因ともいわれる同農薬の是非や研究の重要性について述べました。

 その後、本プロジェクトの代表者3名が、活動の成果や研究の進捗状況について報告しました。藤野教授は、湘南キャンパスの近隣の小中学校などでの環境に関する出前授業や「川の勉強会」など、金目川水系をフィールドとした取り組みについて発表。生物学部生物学科の竹中万紀子准教授は、コムクドリの生態と渡りの解明をテーマに実施した地域向けの学習会など、札幌キャンパスでの活動を紹介しました。また、清水キャンパス・清水教学課の舟尾隆係長は、海洋学部長の千賀康弘教授の指導のもとで学生たちが行っている、水棲生物を考える研究や環境保護の啓発活動について報告しました。

 講演者らが登壇したパネルディスカッションでは、環境保全型社会に向けてどのように次世代を育成すべきかについて、それぞれの研究や活動を振り返りながら討議。パネリストからは、「子どもたちに、1年を通じた自然の姿を正しく伝えることが大切」「生き物はすべて互いに影響し合ってバランスをとり、自然界に恩恵を与えているという『生態系サービス』について理解を促すべき」などの意見が出され、来場者とも活発な質疑応答や意見交換を行いました。最後に海洋学部長の千賀康弘教授が、「すべての世代が環境保全について思いを一つにすれば、私たちの住む世界はもっとよくなるはずです。今後も地域の皆さんのご協力をいただきながら、研究や啓発活動を進めたいと思います」と語りました。

 なお、講演者とテーマは以下のとおりです。

基調講演

「環境化学物質の健康影響に関する動向―その過去・現在・そして未来に向けて―」
 坂部 貢教授(医学部基礎医学系生体構造機能学/医学部長)

「ネオニコチノイド系農薬のサイエンス ― 研究の必要性 ―」
 寺山隼人講師(医学部基礎医学系生体構造機能学)

各グループ研究進捗の報告

「環境保全型社会に向けた次世代育成の取り組み」
 藤野裕弘教授(教養学部人間環境学科自然環境課程)

「コムクドリの生態と渡りを解明し、保全を考える―地域と大学の協働活動として―」
 竹中万紀子准教授(生物学部生物学科)

「水棲生物を考える学生サークルの地域連携(海洋学部千賀チーム)」
 舟尾 隆係長(清水教学課)

パネルディスカッション

テーマ:「環境保全型社会に向けた次世代育成の取り組み」
パネラー:坂部 貢教授
     寺山隼人講師
     竹中万紀子准教授
     千賀康弘教授(海洋学部海洋地球科学科/海洋学部長)

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