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2016年度 [ 地域志向 ] 外国客船入港における国際観光事業への振興支援と英語教育

2016年度 [ 地域志向・概要 ] 外国客船入港における国際観光事業への振興支援と英語教育

取組代表者

加藤 和美 【清水教養教育センター 講師】
(清水校舎)

共同取組者

ゴフ・ウェンディー・マリー(東海大学国際教育センター 英語教育部門 特任講師)

取組の概要

 静岡市清水区にある清水港は、2014 年に9 万トンクラスの外国客船「セレブリティ・ミレニアム」が入港して以降、同規模の豪華外国客船が年間10 隻ほど入港するようになった。本学海洋学部の学生は当初からボランティア活動に参加し、2 年に渡り英語ボランティア通訳と観光案内を地域の方々と一緒に行ってきた。しかし、ここ数年で急速に国際観光港として発展してきたが、行政、地域住民、学生が同時に情報交換する機会がなく、観光客のニーズ・要望の解釈とその対応にずれが見え始めてきた。今後継続して地域の方々と共に外国船を受け入れるために、モデル港を視察、そして観光客のニーズを研究調査・分析し、調査結果を報告するとともに情報交換の機会を設け、受け入れ体制を整えることを目的とした。

取組の成果

 本調査では2つの目的を持って取り組んだ。客船受け入れ側の1.情報共有、2.知識の共有。そして、乗客のニーズ調査。これら調査をもとに、受け入れ側のニーズのずれの調整を図るべく、報告研修会を行い、研修会でのアンケートをもとにマニュアル・フレーズブックを作成した。
 まず、客船受け入れ側の1.の取り組みとして、函館港にて行政と民間の役割分担を調べ、観光振興の様子を調査した。調査の結果、函館港では、行政が民間団体(財団法人)に港におけるイベントや地域ボランティアの総括を委託しており、民間団体がボランティア通訳の募集から研修、高校との連絡、港での販売店との連絡をすべて請け負っていることがわかった。そのため、港湾の方々の仕事を軽減することができ、行政と民間の役割分担を明確にすることができていた。
 また、函館港では地域のボランティア通訳と高校生のボランティア通訳の役割分担も明確にしており、高校生ボランティアには店舗における販売ヘルプの通訳を担当させないことで、金銭の問題を回避している工夫があった。また、函館港と清水港の立地にも違いがあり、それぞれの工夫が必要であることもわかった。函館港は市街地まで距離があるため、シャトルバスで市街地へ送迎していることである。函館駅が拠点となるため、すでに観光協会を中心に電光案内板や詳細な英語表記にて観光地を案内することができている。一方、清水港は静岡市観光協会のある市街地からではなく、港の周りからすでに観光が始まるため、港にて新たにブースを設置して詳細な観光案内をしている。そのため、ボランティア通訳の人々には観光案内の知識がより必要となる。函館港は10 年以上客船入港を行っているが、清水はまだわずか2年。今後長期に渡っての体制構築が必要であることがわかった。
 これらの情報を行政や地域の方々と共有し、観光案内や英語の知識をつけるため、9月12日に報告研修会を行った。研修会にはボランティア通訳経験者やこれからやってみたいという地域の方々約70名が参加した。第一部はTo-collabo 代表者(加藤講師)と共同研究者(ゴフ講師)が函館港の視察報告と清水港との違いをプレゼンテーションし、第二部では参加者がグループに分かれ、実際に困った場面や必要な英語表現を話し合い、情報共有を行った。また、アンケートを配り、ボランティア通訳の経験者からどのような英語表現が必要であったかを調査し、その場で英語表現方法のポイントを講義した。また、得たアンケートを全て集計し、英語フレーズ・マニュアルブックを作成した。約20ページに渡り、観光地への行き方の情報や場面ごとに役立つ英語表現と応用できる英文法をまとめた。学生は、それらのアンケートを集計していく中で様々な情報や問題点を見つけ出し意見交換をすることができた。冊子の作成過程において、行政の方々に見て頂き、行政からの要望を取り入れた内容に修正していった(2月時点校正中)。
 もう一つの目的、外国人乗客のニーズを調査するため、セレブリティ・ミレニアムの乗客にアンケート調査を行った。しかし、当日は大雨のため港でのイベント中止や販売店に立ち寄る姿がほとんどみられず、有効なアンケート調査ができなかった。しかし、神戸港と広島港にて同じく乗客アンケートを取り(2月末)、まとめることで乗客のニーズ調査を引き続き行い、来年へ繋げることができる。

  • 取組テーマ:地域観光
  • 対象者  :指定なし
  • 連携自治体:静岡市