シンポジウム「創エネ・省エネ技術の最先端〜考えよう私たちのエネルギー」を開催しました
東海大学では2月13日に神奈川県平塚市の平塚プレジールで、シンポジウム「創エネ・省エネ技術の最先端〜考えよう私たちのエネルギー〜」を開催しました。本学における再生可能エネルギー技術研究に関する最先端の情報を広く発信し、地域住民の方々に再生可能エネルギーの発展について知っていただくとともに、エネルギーについて考え、議論する機会として、将来のエネルギー供給について考える一助となることを目的に開いたものです。本学の地域連携の取り組みであるTo-Collaboプログラムの大学推進プロジェクト「エコ・コンシャス計画エネルギー・ハーベスト事業」(研究代表者=福田紘大准教授・工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)による活動の一環で、市民や学生、協力員ら約40名が参加しました。
当日は、プロジェクトに参加している長谷川真也准教授(工学部動力機械工学科)や木村英樹教授(工学部電気電子工学科)、田中博通教授(海洋学部環境社会学科)、清田英夫教授(基盤工学部電気電子情報工学科)が登壇。長谷川准教授と田中教授は、将来のエネルギー源として注目を集めている熱音響機関と越波型発電システムについて、エネルギー・環境分野で日本が抱えている問題点や世界的な情勢を踏まえて最近の研究成果を紹介しました。木村教授は、東海大学チャレンジセンター「ライトパワープロジェクト」ソーラーカーチームの活動について、企業と進めてきた新技術開発の歴史や実用化の現状を説明。清田教授は、電力の消費地の近くで発電し効率的な電力網の形成を目指す「スマートグリット」の可能性や最近の研究動向に触れ、その中で「自らエネルギーを生みだせる電気自動車やソーラーカーが大きな役割を果たせる可能性が出てきている」と語りました。
続いて行った招待講演では、塙藤徳氏(国立研究開発法人森林総合研究所)が、自身が開発した「柱梁表し工法」の概要を中心に木造建築の可能性について講演しました。海外では木造のビル建設が進み、風力発電システムの導入も進んでおり、新素材として木由来の「セルロースナノファイバー」が注目を集めているなど、世界的にも木材が見直されている状況を解説。「日本の住宅は夏の過ごしやすさを重視して設計されてきたため、気密性や断熱性を高めると、結露などによる材の腐食や劣化が生じやすい傾向にありました。しかし、新たに開発した工法によって、日本の木造家屋で長年課題とされてきた耐久性と耐震性、気密性、断熱性を兼ね備えた住宅の建築が可能になります。木の特性を理解し、そのよさを生かして上手に使うことで、木造でも快適な住環境を実現できます」と語りました。
福田准教授がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、田中教授、塙氏とともに、滝原良一氏(平塚市環境政策課長)、齋藤美代子氏(子供と親の環境教室「地球っ子ひろば」代表)、千賀麻利子さん(大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程1年次生)が登壇。それぞれが環境負荷の少ない社会の実現に向けて、行政や市民、大学教員、学生の立場で取り組んでいる活動の内容や研究について紹介し、地域の中で大学が果たす役割などについて意見を交換しました。参加者からは、「最新の研究成果を学ぶ有意義な機会になりました。今日得た情報を子どもたちにどう伝えていくか、考えていきたい」といった感想が聞かれました。
福田准教授は、「今年度はそれぞれの研究を進めるだけでなく、昨年度に引き続き2回目のシンポジウムの開催のほか、子ども向けのイベントなどを通して、市民の皆さんの中にも環境やエネルギー問題に関心が高まっていることが再確認できました。今後は次のステップとして、文系の研究者と連携して技術開発だけでなく実用化に向けた有効な進め方についても踏み込んでいきたい。また、湘南キャパスのある平塚地域のニーズにあった普及活動の展開も考えています。将来は、平塚をモデルに、札幌や熊本、清水など全国各地のニーズを踏まえた活動につなげていきたい」と話しています。