取組の概要
農産物のブランド化による地域活性化が図られ、イチゴに見られるような品種のブランド化による成功例が知られている。本研究ではフラクトオリゴ糖や抗酸化物質を高濃度に含有するヤーコンに着目し、さらに機能性向上を図ったヤーコン品種のブランド化による地域活性を目指す。 今年度は特に、ヤーコンの産地となっている菊池市と学内(南阿蘇村)で学生、生産者とともに試験栽培を実施し、品種候補として昨年選抜した系統であるT26の特性を評価した。
取組の成果
ヤーコン生産地である菊池市のヤーコン栽培農家圃場および学内圃場(南阿蘇村)の2カ所で試験栽培を実施した。栽培農家の方と共同で、圃場管理、データ収集を行うことで学生が栽培農家の現場を知る機会を得た。また、栽培上の問題ばかりでなく、学内では知る機会の少ない栽培から流通に至る実際の経営、地域との関係性を身近に感じることができた。 さらに南阿蘇村、菊池市の2カ所で栽培した結果、栽培地の違いによる収量および糖度の差異が認められた。選抜系統T26の塊根収量は、学内ではやや低い値となったが、産地である菊池では収量が高く1株あたり4kg近い塊根が形成された。また、本系統の糖度は両産地で最も高い糖度を示し、特に菊池では他の3品種に比べ有意に高い14°Brixであった。葉の抗酸化能、ポリフェノール含量の季節変動は両地域で類似していた。
以上のように、特に菊池市での栽培試験において、特に収量、糖度ともに現在栽培されている品種より高い値が示され、有用性が明らかとなった。