取組の概要
東海大学では、これまでに地域の理数系教育の推進に向け、学内の教職員と学生による地域貢献活動が各地で展開されてきた。本事業では、大学が知の拠点として地域の初等中等教育と連携し、学生たちによる地域の青少年を対象とした科学教室等の開催を通じて、日本にとって重要な理数系人材の育成をめざすこととした。特に、学内の教員や学生の活動を集約し、その効果や手法を考察し、地域との連携の在り方を昨年度に引き続き検討することとしたものである。昨年度は、研究活動として実施したものを、今年度は教育実践の枠で活動を展開した。
主な活動としては、各地域の教育委員会との情報の共有を通じて、課題を抽出すると共に各地域における連携の在り方を検討した。さらに湘南校舎を初め、熊本、清水及び札幌キャンパスの担当者同士の情報交換と連携を深めることで、学生の地域連携に対する理解をさらに促し、同時に、学生自身の成長につなげる機会を可能な限り設けることとした。
それらの活動を通じて初等中等教育に関係している学内の教員・学生グループから成るメンバーでプロジェクトを構成、湘南校舎を中心に、各キャンパスにおいて地域の青少年を対象とした科学教室を開催することとした。
主として、学生グループ(チャレンジセンターのサイエンスコミュニケーター、SSE(科学実験支援グループ)など)が中心となって、新たな教材を開発するとともに、今年度は、湘南以外のキャンパスで科学教室が実施展開された。一部の実験については、動画で記録を行うこととし、また、TV番組にて紹介される事例にもつながった。
取組の成果
2014年度、5月から12月にかけて、事業分担者による科学教室のイベントは、30件以上となり、そこに参加した学生は、素定数も含め、延べ444名、地域の小中高生は、1万名を超える結果となる見込みである。特に札幌、熊本、清水といった地域では、従来の取組の延長の活動も含め、新たな活動が展開された。いずれの会場においても子供たちの満足度は非常に高く、理系分野に対する興味関心を深めることにつなげることができた。
2014年度、3月14日には、湘南校舎にて、応用物理学会との共催による「世界一行きたい科学広場」が開催される予定であり、これまでの各グループによる活動の集大成となる。
教育委員会とのかかわりにおいては、特に今年度は、湘南以外の地域での情報交換により、新たな知見を得ることができた。すなわち、各地域において、それぞれの教育委員会を通じた取り組みの方法や体制が大きく異なっており、地域における他大学の存在、あるいはこれまでの本学との連携の実績も大きく異なるなど、一概に同じ方法での連携を進めようとしても必ずしも有効に機能しないこととなった。
今後、地域と連携した取組を具体的に広げていく上では、地域が何を求めているのか、大学はそれに対して何が実施可能かを十分見極め、連携活動を展開していく必要がある。一例として、札幌市においては、教職課程の学生との連携を広げていくきっかけを作ることができた。