取組の概要
キイチゴは、ラズベリーとブラックベリーに大別され、ブルーベリー同様アントシアニンが豊富で機能性が高く、加工適性も高いことから近年注目されている果実である。野生種には刺があるが、栽培品種はいずれも欧米で改良され、近年では刺無しの品種も育成されている。九州を含む西南暖地は、降雨量が多く、気温が高いことからブラックベリーの栽培には適しているが、洋菓子業界から強く望まれているラズベリーの栽培は困難である。一方我が国にも多数のラズベリー野生種が自生しており、農学部の位置する阿蘇地域でも極めて旺盛に成長している。
本研究では、我が国の野生種に着目し、それらと刺無しの栽培種との交雑により、種間雑種やその戻し交雑系統を育成、選抜し、西南暖地でも栽培可能な刺無しのラズベリー品種を育成しようとした。
取組の成果
‘ワインダーベイレッド’(刺無し)に我が国自生の野生種ナワシロイチゴ(刺有)を交配
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4系統のF1雑種: いずれも刺有であったが、極めて樹勢が旺盛であった。それらの1系統(WBNw-1)は果実の生産性も高く、果実品質も良好であった。
⇒刺無しの栽培品種を戻し交配
戻し交雑系統(No.1~4):1系統が刺有であったが、残りの3系統はいずれも刺無しであった。これらの刺無し系統は現在育成中であり、次年度は開花結実に至るものと思われる。