取組の概要
風力発電は、再生可能エネルギーの中でも発電コストが比較的低いため、注目を集めているが、エネルギー密度が小さいため、平均風速が比較的高い北海道や東北地方の日本海沿岸部への設置や大型化が進められている。
一方で、関東圏などの都市部での平均風速は3.0-5.0[m/s]程度と低いため、実際の都市部への設置を想定した場合には、弱風の環境下においても発電が可能であり、コストが低い風車を開発することが必要不可欠となる。
そこで、本研究では、平塚市の柴田電機工業株式会社が開発を行っている発電用垂直型風車に対して、柴田電機工業、神奈川県産業技術センター、東海大学の産官学の体制で共同研究を実施し、安価な材料を用いた風車を高効率化することで、実際の都市部の弱風環境下においても発電可能で、小・中規模の事務所や住宅地にも設置することが可能な本地域発の小型風車を開発することを目的としている。
取組の成果
柴田電機工業が開発を行っている垂直型風車のスケールモデルを作成し、東海大学において風洞試験を行い、周速比ごとのパワー係数を測定した。また、羽根枚数および羽根角度を変化させた形状についても風洞試験を実施した結果、最適な条件が確認された。風洞試験と並行して、福田研究室で開発を行っているメッシュフリー型流体解析手法での数値シミュレーションを実施した。その結果、各羽根より剥離渦が発生し、後方の羽根の性能を悪化させていることが確認された。パワー係数の実験値の比較に関しては、周速比0.5までは実験値と解析値が近い値を示していることが確認され、両者の妥当性が確認された。