取組の概要
大規模災害が発生した際、被害を最小限に食い止めるには、災害発生後の迅速かつ的確な情報収集とその伝達が重要である。本研究では、大規模災害時にソーシャルメディアから様々な情報を収集し、利用者の現在地や属性(年齢・性別)などに応じてパーソナライズされた情報を提供するシステムの構築を目指している。研究代表者(内田)は既にツイッターを用いた災害時の情報提供に関する研究を実施していたが、本研究ではデータの解析や可視化、ヒューマンインターフェース、及び都市計画が専門の研究分担者とともに、大学近隣地域(秦野市、平塚市、伊勢原市、大磯町)での利用に特化した避難支援情報提供システムの構築を目指している。利用対象地域を限定させることにより、より利用者のニーズに適合した情報提供が可能になると考えている。
取組の成果
今年度は (1) 2011年3月に発生した東日本大震災時のツイッターデータの分析、及び (2) 被災者に情報提供する際の情報可視化に関する検討を実施した。(1) の成果として、大規模災害時につぶやかれるツイートには特徴的なパターンがあり、適切なキーワードを設定することにより、災害状況の把握や被災者支援に有益な情報を高い精度で抽出できることが確認できた(業績[1])。また (2) の成果として、ユーザの現在地、及び近隣の避難所を地図上にマッピングし、そこへの避難経路と関連ツイートを表示するシステムのプロトタイプが完成した(業績[2])。
[1] “エリア限定型大規模災害時情報提供システム”、言語処理学会第20回年次大会、2014年3月
[2] “大規模災害時における避難支援情報の可視化”、言語処理学会第20回年次大会、2014年3月