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2016年度 [ 地域志向 ] 生命科学実習を通じた地域連携による幼児教育と初等教育の橋渡しの試み

2016年度 [ 地域志向・概要 ] 生命科学実習を通じた地域連携による幼児教育と初等教育の橋渡しの試み

取組代表者

阿部 幸一郎 【医学部医学科基礎医学系 准教授】
(伊勢原校舎)

共同取組者

石井 直明(医学部基礎医学系分子生命科学 准教授)、秦野 伸二(医学部基礎医学系分子生命科学 教授)、竹腰 進(医学部基礎医学系生体防御学 教授)、安田 佳代(生命科学統合支援センター 技術職員)、杉崎 久美子(医学部基礎医学系分子生命科学臨時職員)、北林 みゆき(医学部基礎医学系分子生命科学 臨時職員)、大友 麻子(医学部基礎医学系分子生命科学 助教)

取組の概要

 医学部は付属病院において、医療行為によって社会に多大な貢献をしているが、その研究内容は、地域社会において広くは理解されていない。また、理科離れは、次世代の研究者・技術者の育成にとって深刻な問題である。そこで、伊勢原市子ども科学館と連携し、小学生と保護者を対象とした生命科学の材料を扱った実習を行って市民との交流を図るとともに、医学部の研究室の一部を開放して、医学研究への理解を深める。さらに、近隣の幼稚園の園児の母親に対して、同じ実習と研究室ツアーへの参加を呼びかける。これらにより、生命科学実習を通じて幼児教育と初等教育の橋渡しをするとともに、次世代の生命科学を担う人材の裾野を広げることを目的とする。

取組の成果

 8 月5 日、6 日の2 日間のイベントとして、地域小学校高学年(4~6 年生)と近隣幼稚園児(年中〜年長児)の保護者を対象に科学実験教室の募集をしたところ、幼稚園保護者から予想以上の応募があり、急遽定員を増員した。小学生参加者11 名、幼稚園の園児8 名とその保護者8名、さらに兄弟姉妹や両親そろって参加した家庭もあり、最終的に参加者35 名、教職員やスタッフ31 名を含めると総勢66 名となった。

 イベント1 日目は、伊勢原市子ども科学館にて、自身の口腔内の細胞からゲノムDNA を抽出する実験や、研究で用いられる線虫の変異体やマウス変異体の標本を用いての実験や観察を行った。また、2 日目には参加者と保護者を伊勢原校舎へ招待し、研究内容の説明とともに研究室とそこで行われている実験の見学ツアーを行った。これらの実習と研究室見学には、教員に加えて医学部や工学部の学部生と医科学研究科の大学院生が参加して準備や補助を行った。

 本取組では、地域の小学生と幼児を育児中の母親に、本学医学部の最新の研究を紹介することを目的とした。この取組みの成果は、次世代を担う子どもたちに医学を含めた生命科学への理解とあこがれを持たせ、将来、本学に入学して医師や科学者となって活躍する人材を輩出することである。長期的な展望となるが、感受性の強い時期に理系分野に対して達成感や肯定感を育むことができれば、将来の進路選択に大きな影響を与えると期待される。また、育児中の母親に生命科学への関心が得られれば、発達段階の子どもへ大きく影響することが予想される。

 今回のイベントでの保護者へのアンケート結果より、「子どもはしっかりと理解はできなくても“なんだかすごい”と興奮していた。」、「DNA の抽出を子どもと一緒に出来たのが良い経験だった。」、「年長児が顕微鏡に触れられたのがとても良い経験になった。」等、子どもたちが貴重な経験をしたことに満足した回答が多く見られた。また、子どもたちからは、「抗体のB 細胞についてもっと詳しく聞きたかった。」、「顕微鏡がたくさんあっておどろいた。」、「東海大学っていろいろな研究分野がある。」など、様々な疑問や感想など強い好奇心が感じられた。そして学生・大学院生や教員等スタッフからは、「子どもの素朴な疑問には意外に深みがあった。」、「自分とは違う着目点に感心した。」等、子どもたちと接し、自分たちの研究を振り返るきっかけとなった。このように参加者全体より、好評を得ており、次回の開催予定について尋ねられる機会が多かった。

 今回の試みより、幼児においても保護者との共同作業であれば実習を行うことが可能であり、大きな効果を上げることがわかった。しかし、今回、実習中に幼稚園児と小学生(あるいはその保護者どうし)が活発に交流することは見られなかった。今後の課題として、参加者間での交流を活発にするために何らかの工夫が必要であると考えられた。

  • 取組テーマ:大学開放
  • 対象者  :指定なし
  • 連携自治体:伊勢原市