komukudori

2015年度 [ 地域志向 ] コムクドリの生態と渡りを解明し保全を考える‐地域と大学の協働活動として‐

コムクドリの生態と渡りを解明し保全を考える‐地域と大学の協働活動として‐

取組代表者

竹中 万紀子 【生物学部 生物学科准教授】
(札幌校舎)

共同取組者

河合 久仁子(生物学部生物学科 准教授)、竹中 践(生物学部生物学科 教授)

取組の概要

コムクドリは日本では中部以北の北日本でしか繁殖しておらず、東南アジアの正確な越冬地は不明である。同種は札幌では近年減少傾向にあると考えられ、注視しておく必要がある(竹中 2014国際鳥類学会ポスター発表)。一方、同種は巣箱で容易に繁殖するので観察に適している。地域の小中学校に巣箱を設置し、北海道と東南アジア、そして渡りルートの自然の重要性を生徒に理解してもうらことが今後の保全につながるだろう。個体に標識と小型GPSを装着してわたりルートと越冬地を解明し、その結果を地域にフィードバックし環境教育に生かすことが主な取り組みとなる。

 札幌市南区におけるコムクドリの繁殖生態を調査し、健全な状態で繁殖できているのか明らかにした。個体に足環をつけて個体識別し、特定の個体の移動や繁殖場所を明らかにした。小型GPSといった装置を装着して放鳥した。越冬場所の解明につながる基本的な調査は上首尾に進めることができた。本年度は小学校校庭に巣箱を3個設置し、小学生に子育ての様子を観察してもらい、コムクドリが東南アジアと札幌の間を大旅行していることや、繁殖地と越冬地の両方の環境が種の存続に必要であることの理解につながった。

 2015年12月26日には、小学生向けに南区藻岩地区センターとの共催で、「身近な生き物を知ろう」というシンポジウムを開催した。地域の5つの小学校から23名の参加があり、前半は南区の身近な生き物の紹介を代表教員および共同活動者2名がパワーポイントで紹介し、後半は大学の実習で実際に使っているのと同じ実体顕微鏡で、昆虫、植物、鳥の羽などを観察しスケッチする経験を通して、学ぶというものである。

取組の成果

 コムクドリの巣箱設置と繁殖の様子をモニタリングすることは、自然の学ぶ機会として優れているために、南沢小学校からは今後も継続的小学校敷地内に巣箱を設置して、小学生が見えるような仕掛けで協力してほしいという要望がある。東海大学と小学校の間を、同じ個体が行き来していることも確かめられているので、人の連携だけでなく、野鳥も交流していることが、つながりを意識する材料となった。
 また、シンポジウムでは、東海大学生物学部の学生が中心となって小学生の顕微鏡観察を手伝ったり、参加者の親御さんとも一緒に感動を共有したりできたことは、大きな成果だと考えられた。

  • 取組テーマ:環境保全
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:研究
  • 連携自治体:札幌市南区