シンポジウム「広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興」を開催しました
2014年12月21日(日)に東海大学代々木キャンパスにて、シンポジウム「広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興」を開催しました。これは、2014年度To-Collaboプログラム 地域志向教育研究経費採択課題「広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興」(代表:松本亮三 東海大学観光学部長・観光学科教授)の活動の一環として行われたイベントです。観光について学ぶ学生や教職員、企業や行政の観光関係者ら約100名が参加しました。
湘南・代々木キャンパスの観光学部観光学科、札幌キャンパスの国際文化学部デザイン文化学科、熊本キャンパスの経営学部観光ビジネス学科が、『地域の魅力を発信する』ことを目的に、各キャンパスの教員が一堂に会して各地の広域観光事業を推進するそれぞれの活動を紹介。パネルディスカッションを通してそれぞれの取り組みを報告したほか、各地域の広域観光・地域振興のための仕組みづくりを視野に入れたデスティネーション・マネジメント(DM)について議論を深めました。
当日はまず、研究代表者を務める観光学部の松本学部長が、「近年、各地域が取り組んでいる着地型観光事業の振興を図るには、DMを統合的かつ組織的に展開していく必要があります。我々が進めている3地域における実践活動の進捗を多くの方たちに知っていただく機会としたい」と挨拶。続いて、研究に参加する宮内順教授(経営学部観光ビジネス学科)が基調講演に登壇しました。
宮内教授は、「地域観光振興におけるDMの必要性」と題して、1990年代から観光業界を中心に広まっている「着地型観光」を組織的・統合的に推進するDMの手法について解説。宮内教授は、「現状の着地型観光は、旅行業界全体で見ても10%程度のシェアしかなく、地域への貢献という面では不十分。マーケットも限定的で一般的に浸透しているとは言い難い。地域におけるオペレーター能力をはじめ、マーケティング戦略や流通システムも欠如しており、事業主体として未成熟といえる」と問題点を指摘し、観光客を受け入れる側が地域の多様な資源を活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた旅行商品を開発するためには、「地域の魅力を掘り起こしてツアープログラムを提案し、かつビジネスとして成立させるDMが不可欠。To-Collaboの取り組みを通じて、“地域”がどのように域外の旅行者を取り込めるか検証を続けていく」と語りました。
続くパネルディスカッションでは、『広域観光のDMを通じた地域振興』をテーマに、コーディネーターの岩橋伸行教授(観光学部)による進行のもと、パネリストとして国際文化学部長の吉村卓也教授、宮内教授、観光学部の屋代雅充教授が、コメンテーターとして観光ビジネス学科の鈴木康夫教授が登壇。吉村教授が「軟石未来プロジェクト:札幌軟石をキーワードとした観光DM」、宮内教授が「DMによる南阿蘇の地域振興」、屋代教授が「丹沢湘南地域の観光・地域振興:DMを目指すインバウンド観光の促進」をテーマに、各地域での取り組みについて報告したほか、来場者も交えて、DMによる地域活性化と景観や環境保全の関係性や、大学と地域の行政、企業との連携のあり方などについて熱心な議論が交わされました。
関連ページ:トコラボニュース【-地域志向-シンポジウム「広域観光のデスティネーション・マネジメントを通じた地域振興」を開催しました】