取組の概要
健康科学部は、体育学部生涯スポーツ学科とともに、伊勢原市と連携し、毎年100名の市民会員に対し、年間24回の健康講座およびスポーツ指導を行っている(東海大学市民健康スポーツ大学)。このプログラムには、市民会員の健康度の測定が含まれている。また、万歩計を貸与し、毎日の歩数を計測している。2015年度は、市民会員の日常活動状況の実態調査と、体格・骨密度・メンタルヘルスとの関係を明らかにし、市民会員にフィードバックしたい。 また、この市民健康スポーツ大学を3年継続した修了者の会(愛称 楽遊会)への支援をしていく。具体的には、楽遊会の会員と、健康科学部の在学生との世代間交流活動を企画して、学生の教育と市民会員の生き甲斐活動に役立てていく。
市民会員の身体活動量と心身の健康度の関連性の分析
健康科学部は体育学部生涯スポーツ学科とともに、伊勢原市と連携し、東海大学市民健康スポーツ大学を毎年6月~5月まで1年間行っている。これは、会員登録をした伊勢原市民約100名を対象に、単にスポ-ツの実践のみでなく、健康・福祉に関する講演や実技を通して、健康維持・増進を促進することを目的として、年間24回の健康講座およびスポーツ指導を行っている。この中のプログラムとして、市民会員の健康度の測定および毎日の歩数の計測を行っている。今年度は、東海大学市民健康スポーツ大学の市民会員の日常活動状況の実態調査と、体格・骨密度・メンタルヘルスとの関係を明らかにし、市民会員にフィードバックする。これらのデータの活用に関しては、本クラブ開講以来、市民の健康測定データの管理ならびに本学の教育と研究に資することの「説明と同意の文書」を取り交わしている。
学生と市民との世代間交流活動
東海大学市民健康スポーツ大学は3年継続すると、修了することになっている。昨年より修了した会員が、スポーツの継続と会員の交流をはかるために、楽遊会というグループを作り活動している。この会員と、健康科学部の在学生との世代間交流活動を企画して、学生の教育と市民会員の生き甲斐活動に役立てていく。具体的には、社会福祉学科の「地域保健福祉活動論」(春セメ、履修学生数 56名)、「生涯健康活動論」(秋セメ、履修学生数 43名)において、市民が授業に参加し、グループディスカッションすることを企画した。
取組の成果
市民会員の身体活動量と心身の健康度の関連性の分析
2012年度~2014年度の本健康クラブ市民会員の体格・体組成・血圧・1日の平均歩数などについて、各年度について比較したところ、2012年度と2014年度は差がなく、健康度が維持されていた。市民会員は60歳以上がほとんどで、スポーツ習慣と健康的な生活習慣を身に着けたことにより、健康寿命を延ばすことにつながる可能性が高い。
2009年~2015年の調査で測定デ-タが得られた対象者について、GHQ60によるA(身体的症状)、B(不満と不眠)、C(社会的活動障害)の「問題のない群」と「注意を要する群」間に有意差が認められた万歩計の項目はなかったが、D(うつ傾向)における「問題のない群」は、1日当たりの積算歩数(歩)と1日当たりの歩行による脂肪燃焼量(g)において、「注意を要する群」に比べ有意に高値(p<0.05またはp<0.01)を示した。(To-CollaboプログラムWebサイト「To-Collaboケース」参照)
「うつ傾向」を示すものは、内にこもりやすく、運動量が少なくなることが示唆され、今後、本健康クラブに参加することにより、外出する機会や、友人と談笑する機会が増加することによって、うつ傾向を改善し、心身共に健康を維持して頂きたいと考えている。
学生と市民との世代間交流活動
若者も高齢世代もお互いを知らないが、知りたがっていることが、この取り組みを通じて感じられた。学生たちにとっては、おじいさん・おばあさんと同じ年代の方々から、人生の来し方の語りや人生経験から得た知恵を、言葉と触れ合いを通じて、伝えていただき、学生自身の人生を考えるきっかけになっている。市民会員にとって、学生とコミュニケーションをとることが楽しみであり、活動を継続していく魅力の一つになる。