「湘南里川づくりフォーラム2016 ~金目川水系の今後~」が開催されました
2016年1月24日(日)湘南校舎にて、「湘南里川づくりフォーラム2016 ~金目川水系の今後~」が開催され、学内外から120名が参加しました。
基調講演並びに、以下の4つのテーマの分科会が実施されました。
①金目川水系が目指す里川らしさ
②金目川水系の生物多様性
③金目川水系の現実 ~里川づくりに向けた環境教育~
④私たちの住む金目川水系 ~地域資源の視点から~
基調講演
「地域の河川を利用した人づくり・地域づくり ~体験・交流・学習を融合したエコツーリズムの創出~」
飯島 明宏氏(高崎経済大学地域政策学部地域づくり学科 准教授)をお招きし、ご講演いただきました。
飯島氏の主な研究テーマは「里山の環境システム」「環境モデル解析」。 里地里山では人間の営みと自然生態系が一体となってひとつの『環境システム』を構築しており、ゼミではフィールドワークを通じて得たデータを基に、科学的に里地里山のシステムを理解し、 地域環境の保全と持続可能な利用の在り方を探求しておられます。
現在は、
・水環境健全性指標を利用した河川生態系評価に学ぶエコツーリズムの開発
・フィールドスタディから発展する教科横断型”環境教育サマーキャンプ”の開発と実践
などをテーマに精力的に研究実践活動を展開されておられます。
講演では、飯島氏が活動のフィールドとされている神流川での河川環境教育に関する取組みを中心に、これまでの成果や、エコツーリズムの発想から展開する『環境教育サマーキャンプ』の構想、また、現在の活動に取り組む上での課題をお話いただきました。
お話の中で、金目川と神流川の取組みを比較した際、金目川の取組みで飯島氏が感銘されたこととして、行政が取組みに参画し、「湘南里川づくりみんなの会」として、市民・行政・企業が一体となって取り組んでいることを挙げられておりました。一方、神流川の特徴としては、人口が少ない地域で小学校などの規模も小さいため、イベント等を行う際には学校の協力を得やすいことが金目川との違いであるのではないかと述べられていました。
講演後の質疑応答では、エコツーリズムの問題点などについて質問があがりました。「金目川においても丹沢や大山などの観光資源があるが、民有地も多くあり、放棄され管理が行き届いておらず今後も苦慮されることが想定される。また、人を多く呼ぶことが結果的に環境の悪化につながることが懸念される」との質問に対し、飯島氏からは「群馬県でも民有地やエコツーリズムにおける環境悪化の懸念は同様の課題である。里地里山は人為的な環境であることから動植物のかく乱などは必要以上に注意する必要はないが、エコツーリズムによる環境悪化については十分に注意をしていかなければならない。また、民有地については、長期的な取り組みにはなるが、エコツーリズムにより地域への注目が増し、それが地域の新しい産業として根付いていくことが、適切な里山管理の動機付けになるのではないかと期待している」と述べられました。
【プロフィール】
飯島 明宏氏(高崎経済大学地域政策学部地域づくり学科 准教授)
中央大学理工学部を卒業後、2001年4月 群馬県庁の専門機関である群馬県衛生環境研究所の研究員として入職。 その間、中央大学理工学研究所および国立環境研究所の客員研究員を兼任。その後、2009年3月 中央大学大学院理工学研究科応用化学専攻 博士後期課程を経て2010年4月 高崎経済大学地域政策学部 講師に着任。 2012年より現職。