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2015年度 [ 地域志向 ] サクラエビ市場構造の現状と課題―サクラエビ産業と地域経済の活性化―

サクラエビ市場構造の現状と課題―サクラエビ産業と地域経済の活性化―

取組代表者

岡田 夕佳 【海洋フロンティア教育センター准教授】
(清水校舎)

共同取組者

関 いずみ(海洋学部海洋文明学科 教授)、山崎 剛(清水教養教育センター 准教授)、鉄多 加志(海洋学部海洋フロンティア教育センター 准教授)、花森 功仁子(海洋学部水産学科 非常勤講師)

取組の概要

静岡市清水区(由比)のサクラエビ漁は、漁業者自らが「プール制」などにより資源管理を行うと同時に、「由比桜えび」を地域ブランドとして確立するなどサクラエビの価格に強い影響力を持っている。一方で、近年、不漁やブランドの浸透による需要の高まりなどが影響し、サクラエビの価格が急騰している。そのため、加工業者は苦境に立たされ台湾からの輸入に依存する状況となっている。低価格で比較的品質が高い(静岡の加工業者の指導による)台湾産加工サクラエビは強力な競合相手であり、サクラエビの市場構造は複雑化している。本研究では、地域に密着し各事業者の協力を仰ぎながら、学生とともにサクラエビの生産(漁業者)・加工(加工業者)・流通(商社など)を横断する総合的な調査研究を行い、理想的なサクラエビの市場形成について提言する。

取組の成果

 本プログラムでは、4~6月に、学生とともにサクラエビ漁についての文献調査を行い、サクラエビ漁業者を招いて、サクラエビ漁やプール制、資源管理についての勉強会を行った。7~8月に、由比港漁業協同組合、地元のサクラエビ加工業者などを訪問し、サクラエビ漁業や流通についての現状や課題、地元の様々なニーズについて、ヒアリングを行った。
 ヒアリングの結果、漁協および加工業者から、ブランド化やサクラエビの販売戦略を考える上で、日本と台湾のサクラエビの特徴を明らかにしたいとの要望があったため、台湾調査および地元の加工業者の協力を得ながら、サクラエビ加工品の遺伝子分析、官能評価などを学生主体で行った。また、サクラエビに付加価値をつけて販売する方法について考え、サクラエビの透明標本の商品化の検討を行っている。

 これらの研究成果は、12月に、第58回全関東大学貿易研究団体連合会および、 富士山麓アカデミック&サイエンスフェア2015(静岡県中・東部地域を中心とした大学・短期大学・高等専門学校および企業・行政が連携し、日ごろの学生の研究・開発・ものづくりなどの研究成果を広く紹介するイベント)で学生発表を行った。なお、富士山麓アカデミック&サイエンスフェア2015では、下記の三つのポスター発表を行った。①駿河湾産サクラエビと台湾産サクラエビについての比較検討-官能評価・DNA分析の視点から-、②サクラエビの生態と近縁種 ―商用利用の視点からの判別―、③サクラエビ市場の現状と課題である。このうち、①のポスターが、優秀ポスター賞を受賞した。

 地域志向教育に関する成果としては、参加する学生が、理系、文系の双方いることから、漁業および漁業制度、食文化、水産・食品学の観点など、それぞれ専門的な知識を学科で学習してきており、相互に学びあう機会となり、総合的で実学的な研究となった。
 また、地域産業(漁業、加工業)の実態を調査し、サクラエビ市場構造の現状や問題を関係者(漁業者、加工業者)と協議することを通じて、学生の地域産業への理解が深まった。また、その結果を、関係事業者に提示、再議論することで、地域社会・経済への貢献を行った。

  • 取組テーマ:ブランド創造
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:教育
  • 連携自治体:静岡県、静岡市