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2015年度 [ 地域志向 ] 世代間共生にむけた環境NPOとの連携による環境教育の実践と検討

世代間共生にむけた環境NPOとの連携による環境教育の実践と検討

取組代表者

藤野 裕弘 【教養学部 人間環境学科自然環境課程教授】
(湘南校舎)

共同取組者

北野 忠(教養学部人間環境学科 教授)、藤吉 正明(教養学部人間環境学科 准教授)、NPO会員(特定非営利法人東海大学地域環境ネットワーク会員3名)

取組の概要

本学近隣に位置する金目川水系は秦野、伊勢原、平塚、大磯町を流れ、湘南地域の「母なる河川」ともいえる存在とされており、本水系流域の保全は地域にとって極めて重要な課題である。流域では行政や多くの団体が保全活動を行っているが、その多くが60歳を超える年齢層であり、その活動の継続性が懸念されている。このことから、環境NPO及び学部学生と協力し、地域の担い手である小・中学生が世代間共生を図りながら地域連携を推進できる河川流域における環境教育の実践・検討を行う。

①「河川における地域環境教育」の実践と検討
 ①-1 小学生対象の環境教育実践
 ①-2 中学生対象の環境教育実践と検討

②NPO、流域住民及び学生との里川研究会の実施

③HPの作成

取組の成果

 一部取組みにおいては準備が十分でない面も散見され、特に①について一つの実施ごとの参加者は少なくなってしまった。しかし、事後アンケートなどから、「次回も参加したい」等それぞれの参加者からの評価は非常に高く、我々が実施す実施の重要性が改めて認識された。

○地域社会貢献について 
 伊勢原市比々多小学校においては、来年度以後も継続した実施を依頼され、近隣小学校との連携も視野に入れた活動を提案され、また、付属小学校でも、今年度の科学クラブでの取り組みから、来年度以降の計画について検討が始まるなど、他地域でもこれら取り組み必要とされていると共に、われわれが実践している活動が実施可能であり、更に河川や水を中心とした河川環境教育を通じた地域連携の輪が広がる可能性が示唆された。
 加えて、各地域での各地域の担い手である小・中学生への河川環境意識のへの醸成にもつなげることができた。
 また、今後の活動展開をふまえ同水系流域において金目川に比較的近い場所の小・中・高等学校へアンケート調査を行った。その結果、流域における学校のおよそ70%が河川に関連した環境教育を行っていないことが分かった(図1)。理由として、安全性の確保が困難であること、カリキュラムに組み込む余裕がないこと、1回の授業内で川に行くことが時間的に困難であること、等の回答が得られた。環境教育実践においては学校側の負担を減らす工夫が必要である。また、実践内容においては文化的要素についての授業が少ない傾向にあった(図2)。
藤野01

○教育的効果について
 活動に参加するNPO学生において、2年生以下では自身が小・中学生時代に体験できなかったことが体験でき、非常に貴重な体験であったとコメントする学生もおり、今後の卒業研究のみならず、3年生以上は観察会内で卒業研究の一部を実施するなど大きくな地域志向教育効果を見出すことが出来た。

藤野02

 これらのことから、今後の展開を行うに当たり、文化や歴史、生活等を含めて総合的に川を理解するプログラムを設定し、各世代と交流を図りながら実際の教科の学習内容とリンクさせて学習効果を高める必要がある。今年度実施した、「川の勉強会」のような学習の機会を学校外の団体と連携して企画し、学校のカリキュラムや授業進度と連動させて行うことで、学校側の負担を減らし授業として取り入れ易くする必要があると考える。また、水道局や博物館の学芸員、市民団体等と連携することで世代間の共生を図り、世代を超えて保全活動に取り組む地域コミュニティの創出を促す。また、金目川独自のガイドブック等副教材を作成して環境教育を行う上で必要な情報を学校・地域コミュニティが共有できると考えられる。

  • 取組テーマ:地域観光
  • 対象者  :指定なし
  • 取組タイプ:社会貢献
  • 連携自治体:NPO法人東海大学地域環境ネットワーク