2018年1月20日(土) 湘南キャンパスにて
公開シンポジウム「熊本地震の経験を湘南地域の防災対策に活かそう!」
を開催しました。
2016年4月に発生した平成28年熊本地震の経験を湘南地域の防災に生かそうと企画したもの。「熊本地震の現場にて」と題して本学九州キャンパス長(学長補佐)で農学部長の荒木朋洋教授が基調講演を行ったほか、工学部土木工学科の杉山太宏教授が専門家の立場から熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇キャンパスの地盤や構造物の状況を解説。さらに東海大学チャレンジセンター・熊本復興支援プロジェクトや本事業が神奈川県立秦野高校の生徒会とともに行った「災害情報収集システム利用」の取り組みについてその活動を報告しました。会場のTechno Cube(19号館)311教室には学生や教職員をはじめ、地域住民ら121名が来場しました。
開会にあたってTo-Collaboプログラムを推進する地域連携センターの池村明生所長があいさつに立ち、「本プログラムの『地域デザイン計画 安心安全事業』では、災害に強いまちづくりを目指して地域と一体となってさまざまな取り組みを展開してきました。今回、本学九州キャンパスから熊本地震の際に阿蘇キャンパスで避難の陣頭指揮をとられた荒木先生からお話を伺うことで、湘南キャンパスとその周辺地域においても日ごろの災害への備えに生かしていきたいと考えています」と語りました。
続いて荒木教授が登壇し、熊本地震の本震が発生した2016年4月16日からキャンパス周辺に住み、地震後キャンパスの体育館に避難していた学生全員が被災地を離れるまでの4日間を振り返り、避難所運営のポイントや農学部生たちの様子などを解説。またキャンパス内の建物の被災状況から、日ごろからの災害対策について語りました。さらに現在の農学部の活動や学生たちの学びの様子を紹介し、「阿蘇キャンパスは一部の専門的な授業に限られますが、安全な場所で実習も再開できつつあります。さらに今月17日には、環境省と熊本県、東海大学の3者で阿蘇地域の創造的復興に向けた協定も結びました。まだまだ復興途上ですが、特色ある農学部の復興に向けて頑張っていきたい」と今後に向けた抱負を力強く語りました。
杉山教授は震災後すぐに湘南キャンパスに設置された災害対策本部から阿蘇キャンパスに派遣された物資搬送隊に参加した経験を振り返るとともに、同時に記録した被災状況やその後の調査結果を紹介し、キャンパス内を走る断層の状況や構造物の被害を解説。神奈川県内にある活断層についても説明しながら、「国内の活断層は2000をこえると言われており、10年に1回は内陸型の地震が起きています。地震は必ずやってくる。忘れないこと、考えること、備えることが大切です」と語りかけました。
また、熊本復興支援プロジェクトのプロジェクトリーダーを務める作田瞬さん(工学部航空宇宙学科3年次生)と秦野高校生徒会の小野莉愛さん(1年)と横山賢太さん(同)がそれぞれの活動について紹介し、さらに本事業の代表である梶田佳孝教授(工学部土木工学科)の司会で講演者全員によるパネルディスカッションも実施。会場から寄せられた質問に答える形で、災害時の行動や防災・減災活動などについて意見を交わしました。最後に梶田教授は、「安心安全事業では多様な学部の教員が知恵を出し合い、地域の防災、減災に向けた活動に取り組んできました。地震はいつか必ず起きるもの。今後もこの経験を生かして活動を続けていきますが、ぜひ学生の皆さんも自主的な避難訓練を企画するなど積極的に参加してほしい」と話しました。
たくさんのご来場ありがとうございました。
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