取組の概要
厚生労働省は、2013年から、健康寿命の延伸と健康格差の縮小などを盛り込んだ「健康日本21(第二次)」をスタートさせている。これらの運動や健康に対する意識の向上や対策は地域住民の健康についても重要課題である。伊勢原校舎では、伊勢原市と連携し、①総合型地域スポーツクラブ「東海大学健康クラブ」の運営と市民会員の健康度を測定、②「健康バス」を使った、健康に対する活動に関心の少ない市民への健康啓発活動を行ってきた。この活動を継続するとともに、札幌校舎でも、同様の活動を立ち上げる予定である。
①伊勢原市「東海大学市民健康スポーツ大学」を中心とした市民の健康づくりの支援活動
(市民会員の健康度の経年変化の分析及び学生と市民との世代間交流活動)
「東海大学市民健康スポーツ大学」の開催(年24 回の健康講座とスポーツ指導)と講座内で年2 回、健康度の測定を行い、参加市民の健康度を分析した。また、伊勢原祭において、健康講座と市民の健康度測定を行った。高齢市民と学生との世代間交流活動として、社会福祉学科の講義への参加(春1 回、秋1 回)、学外活動の実施を行った。
②「健康バス」による、市民に対する健康啓発活動
地域へ出向く「健康バス」を実施し、一般市民の中の健診未受診者に健診を受けるきっかけづくりの場とし、健診受診率の向上を図る。今年度は、「健康バス」の地域への定着化を目指した。指定の自治会単位で年7 回実施+イベントと合わせて年2 回実施した他、開催地区で「健康バス」を巡回・運行してアピールした。測定結果データは、測定メニューを統一し、評価できるようにした。
③東海大学市民健康スポーツ大学札幌校舎 -「健康づくり」をてことした新たな地域―大学連携体制の構築-
札幌市南区の「健康の維持・向上」に関する活動のニーズを南沢地区の自主的に健康体操に取り組んできたクラブ員、同地区の大学周辺の単位町内会員、連合町内会役員を対象に調査した。それを踏まえ、既に当該地域で行われている健康体操クラブ等の活動とも連携し、地域内施設を活用し参加者の少ないエリアでも実践、認知症に関する情報収集の機会の創出、ヨガ・マッサージ等、低強度高効率運動の実施、紅葉を見ながらのウォーキング・登山等、地域の方々の要望・希望等もすくい上げ、活動を行った。
取組の成果
①「東海大学市民健康スポーツ大学」を中心とした取組み
2013~2015 年に継続して参加した「東海大学健康クラブ」市民会員(60 歳以上がほとんど)の健康度測定、運動量(平均歩数)、メンタルヘルスの結果は、悪化していなかった。この成果は、普段運動習慣のなかった参加者が、本健康クラブに参加し、定期的な運動を実施し、講演聴講を契機として、生活習慣への改善効果が表れたものと推察できる。世代間交流では、高齢市民が温かく学生と接してくださり、和やかな雰囲気となった。祖父母と同居した経験のある学生が少なくなっている今、高齢者と触れ合う機会は貴重である。
②健康バス
今年度は、各自治会に出向き、「健康バス」の地域への定着化を目指した。その結果、予測400 名以上(現時点での中間結果329 名)の市民の参加を得ると共に、その中で71 名の健診未受診者にあたることが出来た。健診未受診者に外に出てもらうことは、例え地域に出向いたとしても、ハードルは高く、非常に難しい。ようやくその第一歩を踏み出すことが出来たと言える。
③「健康づくり」をてことした新たな地域―大学連携体制の構築(札幌校舎)
①これまで、自主的にしか取り組まれてこなかった健康維持・向上に関する活動(=スポーツ・運動)の機会を新たに創出できた、②季節によって屋外での活動のしやすさが左右される北海道・札幌にあって(特に冬季)、通年で野外で活動を楽しみながら実施できること、またその方法のいくつかを、市民に啓発・発信できた、③スポーツのみならず、他の分野の専門家と協働することによって、よりスポーツ・運動・健康へ親しみやすいかたちで様々な活動に取り組んでもらえるチャンネル形成が達成できた。